
「会社の先輩がやっているから」「営業にすすめられて勢いで」——。そんな気持ちで投資用マンションを購入し、契約直後に後悔した人たちの相談が、私たち不動産投資相談窓口にはあとを絶ちません。
投資マンションは、堅実な資産形成の手段にもなりますが、知識がないまま買うと、後悔する可能性が極めて高いジャンルでもあります。
本記事では、実際に寄せられた相談事例をもとに、「なぜ投資マンションで失敗するのか?」「何が判断を誤らせたのか?」を紐解き、後悔しないためのチェックポイントを解説します。
相談事例:初めての不動産投資、契約後に知った“落とし穴”
相談者プロフィール
• 年齢:30代前半
• 職業:都内勤務の会社員(年収550万円)
• 投資物件:都内中古ワンルーム(築18年)
• ローン条件:フルローン(35年)、家賃収入は月8万円、返済額は月7.5万円
しかし数ヶ月後、次のような問題が発覚しました。
• 管理費・修繕積立金が月1.5万円以上かかる
• 空室期間のリスクを考えていなかった
• 築年数が古く、資産価値がほぼ下がっていた
• 家賃相場がすでに下落傾向だった
結果として、「実質赤字」「売却しようにも値がつかない」という状態に。毎月の持ち出しが増え、貯金を取り崩す事態になってしまいました。
投資マンションで失敗する5つの理由
① 営業トークを鵜呑みにしてしまった
「家賃保証つき」「節税になる」「年金代わりになる」など、耳障りのいい言葉で営業されるケースがほとんどです。
しかし、その裏には管理コストや空室リスクなど、説明されないデメリットが潜んでいることが多いです。
→ 対策:契約前に「家賃保証期間」「修繕費」「管理費」などのすべての出費を明記してもらいましょう。
② ローン返済だけに目を向けていた
「月の家賃>月のローン返済=儲かる」と考えがちですが、実際には管理費・固定資産税・修繕積立金・空室時の損失を考慮しないと実態はわかりません。
→ 対策:キャッシュフロー表を自分で作ること。シミュレーションソフトやExcelなどを使って「数年後の収支」を確認しましょう。
③ 立地や賃貸需要の調査不足
中古ワンルームの場合、エリアによって賃貸需要に大きな差があります。
「駅徒歩10分圏内」「大学や病院の近く」「治安・人口動態」などを調べていないと、空室が続いて赤字になる可能性も。
→ 対策:ポータルサイト(SUUMO・HOME’Sなど)で同地域・同条件の募集物件数・成約事例・空室期間を確認しましょう。
④ 築古物件の「将来リスク」を見落とした
築15年を超えるマンションは、今後修繕費が跳ね上がる可能性があり、収支が悪化します。
また、古くなれば賃料も下落し、ローン返済を下回るリスクも。
→ 対策:最低でも長期修繕計画の資料を確認し、過去の修繕履歴が適切に行われているかをチェック。
⑤ 売却出口の視点がなかった
投資用マンションは最終的に売って利益を出す「出口戦略」が重要です。
出口を想定しないままローンだけ払い続けていると、いざというときに売却もできず「資産が凍結」されてしまうのです。
→ 対策:購入前に「5年後・10年後に売った場合の価格予測」を不動産業者に複数提示してもらう。
後悔しないために確認すべき5つの質問
1.この物件の家賃相場と空室率は?
2.修繕積立金は何年後にいくら必要になる?
3.築年数と建物のメンテナンス状況は?
4.自分で住みたいと思える場所か?
5.今売ったらいくらで売れる?
これらに明確な答えが出せない場合は、「買わない勇気」も選択肢として考えるべきです。
まとめ:不動産投資は“物件”ではなく“情報力”で決まる
投資マンションは、ローリスク・ローリターンな投資だと思われがちですが、知識がなければハイリスクな商品でもあります。
逆に言えば、しっかりとリサーチし、契約前に専門家の意見を聞くことで、「失敗しない不動産投資」は十分に実現可能です。
「なんとなく安心そう」で決めるのではなく、「数字と事実」で判断を。
これから投資を考えている方も、すでに契約して悩んでいる方も、まずは冷静に状況を整理し、信頼できる第三者の意見を取り入れることをおすすめします。

不動産業界に25年以上在籍。多くの不動産投資の問題を解決してきた、猫と温泉をこよなく愛する東京在住47歳。