~「想定利回り通りにいかない」その理由と対策とは~

はじめに:なぜ空室リスクを見落としてしまうのか?
不動産投資を始めたばかりのサラリーマン投資家が陥りがちなワナ——
それが「空室リスクを過小評価すること」です。
投資用物件の営業資料には、魅力的な「表面利回り」や「満室時想定収入」が並びます。しかし、実際には常に満室で回るわけではなく、空室や家賃下落、退去後の原状回復費など予期せぬ出費が発生します。
今回は、実際に空室リスクを甘く見て失敗したサラリーマン投資家Aさんの事例をもとに、「失敗の要因」と「空室リスクに強い物件・戦略」を解説します。
1. 年収600万円・投資初心者が買った“利回り9%”物件
■ Aさんのプロフィール
• 年齢:36歳
• 職業:メーカー勤務(年収600万円)
• 投資経験:なし(株式経験は少しあり)
• 家族構成:妻+子1人
将来の教育資金や老後資金を見据え、「不労所得を作ろう」と不動産投資に挑戦。都内から電車で1時間ほどの郊外エリアにある築25年の1K×8戸アパート(利回り9%・価格4,000万円)を、仲介業者にすすめられるがままに購入。
購入時は満室。
「これなら月10万円以上のキャッシュフローが出る」という説明を受けて契約。だが、現実はそんなに甘くなかった。
2. “満室経営”は長続きせず…退去がもたらした連鎖的損失
■ 退去1件 → 空室2戸 → 半年後に空室4戸
購入から半年後、最初の退去が発生。清掃・修繕に10万円。次の入居者は見つからず、空室期間が3か月以上に。
その間にも2戸が退去し、**最大で空室率50%**に。
■ キャッシュフローが激減、手出し発生
満室時は10万円超だった手残りが、空室・修繕・管理費で赤字化。
ローン返済(元利均等)に対し、月5万円以上の持ち出しが発生。
■ 家賃を下げても入居者が決まらない
周辺相場より高めの設定だったこと、築古のため競争力がないことも影響し、家賃を下げても空室が埋まらない状態に。
3. なぜ空室リスクを見誤ったのか?3つの誤算
【誤算①】「満室=人気物件」と勘違いした
購入時に満室でも、それは「見せかけの満室」かもしれません。
実際、前のオーナーが売却前に無理に満室にした可能性もあり、長期で見れば稼働率が低いケースは珍しくありません。
【誤算②】エリアと賃貸需要の調査不足
物件の立地は「郊外の駅徒歩18分」。
近くに大学・企業もなく、単身者向け需要が限られていた。
→ 賃貸ポータルサイトや管理会社へのヒアリングなど、事前の需要調査を怠ったことが致命傷に。
【誤算③】原状回復やリフォーム費用の見積もりが甘かった
入退去ごとに必要なクロス交換やクリーニング費用など、突発的な支出を想定していなかった。
→ 長期的なキャッシュフロー計算が現実に即していなかった。
4. 空室リスクを抑えるには?成功する人が実践している3つの視点
1. 立地と賃貸ニーズの確認
• ポータルサイトで類似物件の空室数を調査
• 管理会社に「どんな人が住むエリアか」を確認
• ワンルームなら駅徒歩10分以内が基本
2. “稼働率ベース”で利回りを再計算
表面利回り9%でも、実際の稼働率80%でシミュレーションすれば、実質利回りは7%以下に落ちることも。
→ 空室リスクを含めた現実的な数字で判断を。
3. 差別化できるリフォーム・設備導入
• ネット無料、宅配ボックス、スマートキーなど
• 築古でも「他と差がつくポイント」を持つと競争力が増す
5. 投資失敗から抜け出すには?
Aさんは現在、家賃をさらに調整し、リフォームをかけて再募集を継続中。並行して、売却査定も取り始めたとのこと。
「不労所得のつもりが、手間もお金もかかる“労働”になった」と語ります。
今後は、以下のような戦略を検討中:
• 入居付けに強い地元管理会社へ変更
• ターゲットを変えた広告戦略(例:高齢者・外国人)
• 築古でも売却できる出口戦略の構築(リノベ済み・収益付き)
まとめ:空室リスクは“最大の敵”であり“最大の改善チャンス”
不動産投資において「空室リスクを甘く見ること」は、
収益性を一瞬で崩壊させる最大の落とし穴です。
しかし、同時に「入居率を改善する工夫」ができれば
、
逆に安定収入と資産価値を高めるチャンスにもなります。
重要なのは、
• 立地と需要の徹底分析
• 現実的な収支シミュレーション
• 差別化できる物件作りと管理体制
です。
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不動産業界に25年以上在籍。多くの不動産投資の問題を解決してきた、猫と温泉をこよなく愛する東京在住47歳。