〜年収1,000万円台の投資家が見落とした「税制の壁」とは?〜

はじめに:「節税」のつもりが税金地獄に?
不動産投資をスタートするにあたり、多くの人が気にするのが**「節税メリット」です。
しかし、個人で物件を増やしていくと、ある時点から税負担が急激に増える“壁”**にぶつかります。
その代表例が、「法人化を検討せずに個人で拡大した結果、税金で手残りがほとんど残らなくなる」というパターンです。
今回は、実際にあった年収1,000万円超のサラリーマン投資家Bさんの失敗事例をもとに、「なぜ損をしたのか」「法人化の判断基準」「改善方法」まで詳しく解説します。
1. 個人で5棟目まで買ったBさんの税金トラブル
■ プロフィール
• 年齢:42歳
• 職業:IT系会社員(年収1,200万円)
• 投資歴:8年
• 保有物件:地方RC・木造含む5棟(年間家賃収入2,800万円)
Bさんは、高年収+金融機関の信用力を活かして不動産投資を順調に拡大。ローンを組み、物件を毎年1棟ペースで増やしていきました。
初期は減価償却のおかげで赤字決算=所得税還付も受けられていたものの、5年目あたりから状況が一変。
2. 税務上の「黒字化」と税率の罠
物件が増えると、いずれ減価償却が終了します。
Bさんも一部の物件で償却期間が終わり、帳簿上の利益(課税所得)が跳ね上がる事態に。
結果として——
• 所得税・住民税合計:年間約300万円超
• 社会保険料(国保・年金):年間約90万円
合計で約400万円近い税・保険負担となり、手残りがほとんど出ない年も…。
Bさんは「現金が増えないのに税金だけ増える」状況に陥り、ようやく法人化を本気で検討し始めました。
3. 法人化しなかった理由とその落とし穴
Bさんがこれまで法人化を見送っていたのには、以下のような理由がありました:
• 法人設立や会計管理が「面倒そう」
• 銀行融資に悪影響があると聞いた
• 初期は個人の方が「減価償却で税金が戻る」と思っていた
確かに、初期段階では個人での投資にもメリットはあります。
しかし、課税所得が900万円を超えると、税率は33%以上に。
加えて、個人事業主の社会保険料負担は法人よりも高い傾向があり、「利益が出るほど損をする」構造になってしまったのです。
4. 法人化によって得られた3つの改善効果
Bさんが税理士と相談のうえ、法人を設立し、新規取得を法人名義に切り替えることで以下の効果を得られました:
① 法人税率の軽減
法人の税率は、資本金1億円以下の中小企業であれば年間800万円以下の利益に対して15%(2025年時点)。
個人の33%に比べ、大幅な節税効果が得られました。
② 社会保険料の最適化
法人では、給与額に応じた社会保険料の設計が可能。
役員報酬を調整し、支払い可能な範囲で保険料を最適化することで、キャッシュアウトを抑えることに成功。
③ 所得分散と経費化の幅が広がる
法人ならば、配偶者や家族に給与を支払って所得を分散できるほか、個人では認められにくかった接待交際費や役員車両、福利厚生なども経費として認められる可能性が広がります。
5. 法人化の判断基準はここに注目!
法人化すべきかどうかの判断には「明確なライン」はありませんが、以下のチェックポイントを参考にしてください。
判断基準 | 内容 |
---|---|
年間の不動産所得 | 課税所得が900万円を超える場合は要注意 |
減価償却の残年数 | 終了が近いほど税金増のリスク |
保有棟数 | 3棟以上なら法人スキームを検討する価値あり |
将来の事業規模 | 複数棟を拡大予定なら法人の方が有利 |
6. 法人化に向いている人・向いていない人
法人化に向いている人 | 法人化を慎重に検討すべき人 |
---|---|
利益が大きく出ている | 所得が少ない(税率が低い) |
物件数が多い(3棟以上) | 物件が少ない or 短期保有予定 |
長期で事業として拡大したい | 資産形成を目的とした小規模運用 |
7. 実践的な改善ステップ
1. 現状の課税所得と税率を把握する
2. 物件ごとの減価償却残年数を確認する
3. 将来的な物件数・売上計画を明確にする
4. 税理士と法人スキームを事前に相談する
5. 法人での取得・管理を段階的にスタート
まとめ:「個人投資の限界」を超えるために
不動産投資は、規模が大きくなるほど税金・保険・会計の戦略が重要になります。
「法人化はまだ早い」と思っていた投資家ほど、税金で損をしているケースが多いのが現実です。
法人化には手間やコストも伴いますが、それ以上に**「事業としての拡張性」と「資産形成の持続性」**を確保する手段になります。
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不動産業界に25年以上在籍。多くの不動産投資の問題を解決してきた、猫と温泉をこよなく愛する東京在住47歳。