~入居率・利回り・物件価値を高めるための基本戦略~

不動産投資において、「エリア選定」「利回り計算」「金融機関との交渉」など、やるべきことは山ほどあります。その中でも意外と見落とされがちなのが“競合物件の調査”です。
あなたが購入を検討している物件の周辺には、似たような物件が多数存在するかもしれません。そして、その競合物件の家賃設定・設備・築年数などによって、あなたの投資物件の収益性や空室率が大きく左右されるのです。
本コラムでは、不動産投資初心者でもすぐ実践できる「競合物件を把握するための簡易リサーチ術」について、実践的な手法とチェック項目を交えて解説します。
なぜ競合リサーチが重要なのか?
競合物件を知らずして投資判断を下すのは、まるで市場価格を知らずに商品を仕入れるようなもの。以下のような問題が発生するリスクがあります:
• 家賃設定が相場より高くて入居が決まらない
• リフォームしたのに、近隣の新築物件と家賃が同じで競り負ける
• 長期空室が続き、利回りが悪化しキャッシュフローが崩れる
• 売却時に買い手が見つからず、出口戦略が困難になる
競合物件の把握は、入居付け・家賃設定・差別化ポイントの明確化に直結する、極めて重要なステップなのです。
1. まずは「物件ポータルサイト」で競合をリストアップ
最も簡単で即効性のあるリサーチ手段が、不動産ポータルサイトを使った調査です。
主なサイト例:
• SUUMO(スーモ)
• HOME’S(ホームズ)
• アットホーム
• CHINTAI
• 不動産ジャパン
調査手順:
1. 調査したい物件の最寄駅 or エリアを入力
2. 賃貸物件検索で「間取り・築年数・広さ・家賃」を自分の物件に合わせてフィルタリング
3. ヒットした10~20件を一覧でExcelやメモに記録
4. 各物件の【家賃】【築年数】【専有面積】【設備】【徒歩分数】【管理費】を比較
これにより、そのエリアでの相場家賃・特徴的な設備・新旧物件の競合状況が可視化されます。
2. 現地に足を運び、リアルな“肌感”をチェック
ネット情報だけでは分からないことが多いのが不動産の世界。現地調査を行うことで、「住環境」「騒音」「人通り」「駅からのルート」など、数値化しづらい要素を肌で感じ取れます。
現地で見るべきポイント:
• 近隣物件の掲示(空室有りの看板が目立つか?)
• ゴミ捨て場の管理状況(清潔感)
• 夜の明るさ・治安(街灯・人気の有無)
• 駅からの徒歩ルート(坂道、歩きやすさ)
• ファミリー層向けなら、公園や学校の近さ
この情報は“その物件に住みたいと思えるか”という感覚的判断の精度を上げてくれます。
3. 賃貸仲介業者に聞く「生の競合情報」
プロの視点で競合物件やエリア傾向を知るには、実際に仲介している不動産会社にヒアリングするのが効果的です。
ヒアリング例:
• 「このエリアで一番人気のある間取り・築年数は?」
• 「いま入居が決まりにくいのはどんな物件?」
• 「家賃を500円下げると決まりやすいか?」
• 「リフォームで家賃アップできる可能性は?」
信頼できる担当者と出会えれば、現場の“生情報”を無料で手に入れることができます。
4. Googleマップとストリートビューを活用
地方物件や遠方物件を検討している場合、現地調査がすぐには難しいこともあります。そんなときにはGoogleマップとストリートビューを活用しましょう。
チェックする内容:
• 周囲にある競合アパート・マンションの外観・築年数感
• 駅からのルート(コンビニ、街並み、坂など)
• 騒音の元になる工場・線路・幹線道路の有無
また、Googleのクチコミも確認することで、「周辺エリアの治安」「近所トラブル」「住民の属性(外国人多い、高齢者多いなど)」を知るヒントになります。
5. 大家・投資家コミュニティの活用
最近では、SNSやセミナー、オンラインコミュニティを通じて、同エリアで不動産投資をしているオーナーとつながる機会も増えています。
活用例:
• X(旧Twitter)やFacebookグループで地域キーワード検索
• 不動産投資系のYouTubeやブログを読む
• 地域大家会・セミナーへの参加
「生の成功例・失敗例」は、**データでは見えない“リアルな投資判断材料”**になります。
競合リサーチで得られる3つのメリット
メリット | 内容 |
---|---|
家賃設定の精度が上がる | 適正価格を把握し、空室リスクを抑えられる |
差別化ポイントが明確になる | 競合にない設備・条件で優位に立てる |
リフォームや購入判断に根拠が持てる | 投資判断にブレがなくなる |
まとめ:リサーチの「ひと手間」が、投資の成功を分ける
不動産投資における競合調査は、「利益を上げるため」だけでなく、「失敗を避けるため」にも極めて重要です。
インターネットや無料のツールを活用すれば、初心者でも数時間で十分な競合リサーチが可能です。大切なのは、「思い込み」ではなく「客観的な情報」と「現地感覚」に基づいた判断をすること。
当社の不動産投資相談窓口では、エリアごとの競合分析や物件調査サポートも無料で承っております。初めての投資で不安を感じている方も、ぜひお気軽にご相談ください。

不動産業界に25年以上在籍。多くの不動産投資の問題を解決してきた、猫と温泉をこよなく愛する東京在住47歳。