~人気の「駅徒歩5分以内」物件、その裏に潜む落とし穴とは~

■ はじめに
「不動産投資をするなら駅近物件が有利」
これは投資初心者からベテランまで、よく言われる“常識”です。
たしかに「駅近」は入居者ニーズが高く、空室リスクが少ないように思えます。
しかし、果たしてそれは“絶対”に正しい判断なのでしょうか?
この記事では、最新データや実例を交えて「駅近物件=有利説」の真偽を検証し、本当に投資すべき物件の条件とは何か?を掘り下げていきます。
■ 1. 駅近物件のメリットは本当にあるのか?
結論から言えば、駅近物件には以下のような確かなメリットがあります。
● 空室リスクが低い
賃貸需要の高いエリアであるため、入居者が見つかりやすい。
● 家賃設定が高め
同じ間取りでも、駅徒歩5分と徒歩15分では家賃に1〜2万円の差が出ることも。
● 売却時に有利
出口(売却)の際も、買い手が付きやすい。
【データで見る駅近の強さ】
東京都内の2024年賃貸マーケットデータ(民間調査機関より)によると、
• 駅徒歩5分以内の空室率:6.8%
• 駅徒歩15分以上の空室率:13.1%
同じ1Kでも、駅徒歩3分で家賃8.5万円、徒歩15分で7.1万円というエリアも。
このように、駅近物件は“安定性と収益性”の両面で優秀といえます。
■ 2. 駅近でも「失敗する物件」は存在する
一方で、私たちの相談窓口に寄せられる事例の中には、「駅近=成功」と思い込んで購入し、失敗したケースも少なくありません。
● 事例:東京23区内・駅徒歩3分の1R物件
• 築32年・木造・駅近だが夜は人通りが少なく治安に不安あり
• 表面利回り6.2%で購入 → 実質利回りは3.8%に
• 1年で2度の退去 → 修繕費で収支が赤字に
「駅近」というブランドだけで判断し、築年数・建物構造・住環境の弱点を見落とした例です。
駅近でも、物件の“中身”が伴っていないと収益は出ません。
■ 3. 駅近 vs 駅遠:実質利回りで比較してみた
投資において重要なのは「表面利回り」ではなく「実質利回り」です。
駅近と駅遠で、実質利回りがどう変わるのか比較してみましょう。
項目 | 駅徒歩5分(A物件) | 駅徒歩18分(B物件) |
---|---|---|
購入価格 | 1,800万円 | 1,200万円 |
家賃(月) | 80,000円 | 63,000円 |
表面利回り | 約5.3% | 約6.3% |
年間支出(管理・税・修繕) | 約35万円 | 約28万円 |
実質利回り | 約3.4% | 約4.6% |
➡ 駅遠のほうが、実質的な収益率は高いケースもあるという結果に。
また、駅遠物件は初期投資が安く、複数所有でリスク分散もしやすくなります。
■ 4. 駅近物件が向いている投資家の特徴
では、駅近物件に向いているのはどんな人でしょうか?
短期での出口(売却)を見据える人
→ 資産価値が落ちにくく、売却益が狙いやすい。
フルローンや低自己資金で安定運用を目指す人
→ 駅近であれば金融機関からの評価も高め。
忙しくて「空室リスク」を最小限に抑えたい人
→ 募集期間が短く、管理会社にも好まれる。
■ 5. 駅遠物件の方が向いている投資家とは?
一方で、あえて駅から離れた物件を選ぶことで、高利回りと複数物件による分散投資を実現している投資家もいます。
長期保有で安定収益を目指す人
→ 初期費用が安く、月々の収支が黒字になりやすい。
地元密着でニッチな需要を狙える人
→ 駐車場付きファミリー物件などは、郊外に多い。
DIYやリフォームで価値を上げられる人
→ 古い物件を安く仕入れて再生することで利回りをアップ。
■ 駅近にこだわるべきか?答えは「戦略次第」
「駅近=正解」でも「駅遠=不利」でもないのが、実は不動産投資の面白いところです。
大切なのは…
• 投資の目的(売却益 or 家賃収入)
• 資金計画(ローン or 現金)
• 自身の運用スタイル(管理を任せるか、自主管理するか)
この3点を明確にしたうえで、駅距離だけでなく、築年数・構造・周辺環境・将来の人口動態など総合的に判断することが大切です。
■ まとめ:駅近神話に惑わされない「目利き力」が必要
駅近物件は需要・家賃・出口で強みがあるが、必ずしも「収益性」が高いとは限らない
駅遠物件でも、実質利回り・物件価格・独自のニーズを踏まえれば十分に戦える
成功の鍵は「戦略に合った物件選び」と「数字を冷静に見る力」
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不動産業界に25年以上在籍。多くの不動産投資の問題を解決してきた、猫と温泉をこよなく愛する東京在住47歳。